SSブログ

厳冬期の久慈川での表皮水温の検討 [久慈川のシガ]

水面近傍の温度構造を模式的に示す。
水面直上と直下には、熱の輸送が分子伝導によって行われる熱境界気層(数mm)と
熱境界水層(約1mm)がある。

温度構造2.JPG

水面では、赤外反放射による放熱、顕熱輸送、蒸発による損失があるため、表皮水温は
その下の水温よりわずかに低い。
M.F.M.Osborne(1964)は、表皮水温Toと表面水温Twとの差を次のように考えた。

To-Tw=(Tw×p×(δw/δa))+(Tw×q×δw)+(Tw×r×(δw/δa))

右辺第1項は、熱境界水層および熱境界気層の分子伝導で、気温-表面水温差(Ta-Tw)に
比例する。第2項は、水面からの赤外反射による項で、大気上空温度と表面水温との差
(Ts-Tw)に比例する。そして第3項は、蒸発に関する項である。To-Twは、各条件の組み合わせ
でいろいろな数値になるが、Osborneは上式右辺の各項の限界を次表のように見積もった。
(Tw=293K、δa=3mmまたは1mm、δw=1mm)
表皮水温の検討11.JPG
これをシガが発生する気象条件に当てはめて計算する。(Tw=273K、Ta=268K)
表皮水温の検討21.JPG
よって、シガが発生する気象条件での表皮水温の低下は、最大0.6℃になる。
ただし、この計算式は、海洋をモデルにしたものであり、河川では水の流れにより下層の水と
混ざるため、これほどの水温低下はないと思われるが、流れの緩やかな場所では、表皮水温
の低下が起きている可能性がある。


参考文献 渡辺貫太郎(1969): 表面水温における問題点, 海と空, 45, 2・3, 53-76
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。