SSブログ

日本の輸出依存度と為替相場の動向 [馬さし経済研究所]

2011年10月31日、為替は一時1ドル=75円32銭の史上最高値を更新しました。
その後、政府・日銀は円売り・ドル買いの為替介入を実施して、79円55銭まで
戻したものの、その後はこう着状態が続いています。

この歴史的円高で日本の産業界が打撃を受けているというニュースをよく見ますが、
実は日本のGDP(国内総生産)に占める輸出依存度は11.4%に過ぎません。
ちょっと意外に思われる方も多いと思いますが、これは韓国 43.4%や中国 24.5%、
ドイツの33.6%と比較しても低い数値です。

さすがに輸出の金額では、日本は中国、アメリカ、ドイツに次いで4位になりますが、
日本はGDPの9割近くを内需が占める内需大国なのです。

ただ、日本の主要輸出品である自動車は裾野の広い産業で、完成車メーカーを
頂点に、1次 、2次、3次と多くの下請け部品メーカーからなるピラミッド構造で、
労働従事者も多いため、円高の影響は広範囲に及んでいると思います。

しかし全体を見れば、日本は貿易立国という割には輸出入を通じた世界経済への
繋がりは他の国ほど強くないということです。

また、日本の最大の貿易相手国は長らくアメリカでしたが、2006年度以降は中国が
トップとなり、2010年度にはアジア向けの貿易が51.1%にも達しています。
しかも、精密機械や工作機械など、海外に競合メーカーがほとんどいないオンリー
ワン技術を持つメーカーの多くが円建てで輸出しており、円建て輸出の比率は
全体で42.2%、アジア向けでは49.3%と、為替変動のリスクは減少しています。

下記に2010年の通貨別取引シェアを示しますが、円は米ドル、ユーロに次いで
3番目に取引量の多い通貨です。

2010年の通貨別取引シェア
米ドル84.9%、ユーロ39.1%、円19.0%、ポンド12.9%、豪ドル7.6%
(1回の取引で2通貨計上されるため、合計は200%)

今後も欧州金融危機の一時回避で円が買われる可能性もありますが、このまま
円高が進むためには世界の約6割を占める米ドルでの資産を売り続ける必要が
あり、あまり現実的ではありません。
円の実力は当分この程度が限界だと思います。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。